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ビッグバン10年の教訓

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日本版ビッグバンが始まってから10年。1997年5月の新外国為替管理法の成立が幕開けだった。改革の哲学ははっきりしていた。市場原理が働く自由市場(フリー)、透明で信頼できる市場(フェア)、国際的で時代を先取りする市場(グローバル)―-。目標は2001年に東京をニューヨーク、ロンドン並みにすることだった。ところが、欧米に追いつくどころが差は広がっている。

「国際的に大きく立ち遅れている点は見あたらない」。昨年2月、経済財政諮問会議の金融資本市場グループではこんな評価も飛び出した。確かにこの10年で自由な市場の考えに基づく制度作りはそれなり進んだ。株式売買委託手数料を自由化し、銀行の投信販売も解禁した。金融商品への時価会計の導入で透明性も増した。

だが制度に魂が込められたか疑問だ。旧大蔵省・日銀を巻き込んだ過剰接待に始まり、最近の生損保の保険金不払いに至るまでフェアとは言い難い事件が絶え間なく続いている。

金融機関は国際的で時代を先取りする気概に欠けた。銀行は海外でも日本企業との取引に力を入れ、急成長する外国企業との取引はリスクが高いと慎重だった。失敗を恐れてデリバティブなど新しい取引にも及び腰。東京に外資を予備には環境が悪かったのは確か。中国、インドが急成長を続ける一方、日本はデフレから脱却できなかった。

情報不足も一因。シンガポールや香港にはインド、中国、東南アジア諸国連合などアジア全域の国や企業が集まる。日本には隣の中国、台湾、韓国の情報すら十分に入らない。

上場企業の時価総額で東京証券取引所は他のアジアの取引所の合計に抜かれた。IPOでもアジアの評価が高まり、米投資銀行には優秀なバンカーを日本から香港などに移す動きも出てきた。

進出している外国金融機関数で比べると、銀行は東京の69に対しシンガポールは103行。外国証券もシンガポールの方が多い。アジアの金融ゲートウェイとしての地位はシンガポールに奪われかけている。

国際金融市場の変化は日本の規制緩和ベースをはるかに上回る。欧州は大型M&Aで、米国はプライベート・エクィティ投資で沸いている。そうした業務を呼び込むには銀行法の抜本改正などに踏み込んだ大胆な規制緩和が必要だ。

新しいマネー経済に慎重な姿勢を改めないと国際競争には勝てない。ビッグバンの教訓を生かすときである。


日本の金融・資本市場の規模

規模(単位ドル) 米国と比べると
格式時価総額 4.8兆 4分の一
投資信託残高 5,700億 20分の一
国際IPO 180億 2.5分の一
M&A 1,070億 12分の一
社債発行 550億 16分の一
協調融資 2,150億 8分の一
外国為替 1,990億 2,5分の一
デリバティブ(為替・金利) 1,850億 3分の一
商業不動産投資 480億 6分の一
不動産投資時価総額 550億 8分の一
(注)為替・デリバティブは04年の一日の取引量、他は06年。出所はBIS、トムソンフィナンシャル、NAREITなど。
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