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金融・資本市場競争力は強化できるか

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戦略産業への育成多難

2007年末、金融庁が「金融・資本市場競争力強化プラン」を公表。総合取引所の解禁や銀行の業務規制の大幅な緩和、高度な金融知識を持つ人材の育成・・・。などメニューはすべて国際競争力を意識したものだ。


1.商品生む力ない

日本が金融の大改革に踏み切るのは1996年の「金融ビッグバン」以来、約10年ぶり。そうせざるを得ないのは、世界を駆け巡る投資マネーが東京を相手にしなくなったから。端的に物語るのは、外国企業の上場数だ。東京証券取引所に2007年上場した外国企業は3社。アジアで勢いのあるライバル市場、シンガポールは同じ時期に42社の上場誘致に成功している。日本版金融ビッグバンは、欧米の制度に追いつくこと、今回は、付加価値を生みだす基幹産業に金融を育てることだ。だが、「付加価値を生み出す金融業の育成」は簡単なことではない。証券化など高度な金融技術では欧米勢に圧倒されているのが実情。「日本の金融はマネーという一次産品しか供給できていない。加工して競争力のある最終製品を生み出すだけの力はない」と言われる。
金融技術とリスク許容度の低さが響き、日本からの海外投資は大半が利回りの低い債券だ。一方、対日投資は高収益を狙う株式投資が7割強を占める。日本が低金利で海外に資金を供給する傍ら、欧米の余剰マネーがファンドを通じて日本の高収益案件をさらっていく構図だ。金融分野の競争力の差は国富の流出を招いているとも言える。


2.人材育成が急務

競争力強化プランによって制度面はとりあえず欧米並みに近づくが、それだけでは金融国際化の展望は描けない。「やはり主役である金融仲介者が頑張らないと」との声が多い。
質の高いサービスや商品開発力に磨きをかけ、先端の金融知識に通じる人材を育てていくことはできるのか。
英金融市場シティが2007年に公表した国際金融センターのランキング調査。東京は9位だった。ロンドン、ニューヨークはおろか、香港やシンガポール、シドニーより下位だ。低迷の理由は「規制の質の高さと人材の乏しさ」とされている。世界の金融当局では幹部級を含め官が民との人事交流は当たり前。人材の「開店ドア」が民の最新情報を官へ伝える機能を担い、規制の質向上に役立っている。シンガポールは一流投資銀行並みの給与を保証し、民から優秀な人材を集めている。しかし、日本では公務員の質を上げる発想が乏しい。それどころか官と民の間の対話さえなく相互不信を生んでいる。
近年は資源国を別にすれば、豊かな国は金融やITが主要な専業になっている。日本も金融立国を目指せるか。日本をアジアの金融センターにしようと主張する人があるが無理だと言う人が多い。最大の問題は、先端の金融技術を駆使できる人材が殆どいないことだ。国際的な金融取引の前提となる英語を話せる人も少ない。ロンドンでのいわゆる「ウィンブルトン現象」は残念ながら東京では起せないだろう。
金融の戦略産業の構築に向けたインフラとしてのグラウンド整備が進もうとしている今、金融プレーヤーの選手としての力量がこれまで以上に問われている。
国際金融センター競争で、英米は勿論、中国やシンガポール、韓国などのアジア勢も金融を自国経済を引っ張る戦略産業と位置づけ、さまざまな対策に乗り出している。この競争に参戦したばかりの日本は「スピード感を持って取り組まないと直ぐに劣後しかねない」
競争力のある市場は強い磁力で人・情報・カネを内外から引き寄せてこそ、初めて構築できる。そのためには官にもまだ取り組むべき課題は多い。金融は経済の足を引っ張る役回りからけん引役へと変身できるのか。官民挙げて改革のピッチを上げていくことがその最低条件となる。

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