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金融人材転職市場2009

金融人材転職市場2009

米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻が世界の金融・経済危機の引き金を引いたのは2008年9月、1年前のことだ。市場は一時のパニックを抜け出し、景気も底入れの兆しが見えるが、金融も産業も正常化には程遠い。100年に一度の危機―――。問題克服には2から5年必要と見たほうが妥当ではないか。2009年日系金融機関・外資系金融機関の現状及び金融人材の需給状況について現状を探ってみた。

T日系金融機関の現状

1.6大銀 赤字1兆1700億円 最終損益前期合計 今期は8900億円黒字想定

六大銀行グループの2009年3月期決算は、連結最終損益の合計額は1兆1793億円の損失となり、5年ぶりに赤字に転落した。世界的な金融危機の余波で保有株式の価格が急落。貸出先企業の業績悪化で、不良債権処理損失が1兆7千億円と4年ぶりの水準に膨らんだ。
10年3月期の最終利益見通しは、6グループ合算で8950億円の黒字を想定している。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の09年3月期決算は連結最終損益が2569億円の損失。05年のグループ発足以来初めて赤字決算となり、年間配当を2年減らして12円とした。6大銀行グループのうち黒字を維持したのは、りそなホールディングスと住友信託銀行の二社にとどまった。
厳しい決算を迫られた第一の理由は、前の期に比べて約3倍(1兆4千4百94億円)に達した保有株式の減損処理だ。株式などの有価証券は取得時(簿価)から50%以上、時価が下落した場合などに、その分を損失として計上する。金融危機に伴う株式市場の低迷で、保有株式の多くで損失処理を迫られた。
特に三メガはここ数年、取引先からの要請に応じて持ち合い株式を買い増すこともあった。昨年以降に相次いで踏み切った海外の金融機関への出資も裏目に出た。みずほFGは5141億円、三菱UFJは5664億円の減損処理をそれぞれ計上した。
第二の要因は不良債権処理の増加だ。民間調査会社によると昨年度の企業倒産件数は16146件で6年ぶりの多さ。銀行は貸出先の経営状況に応じて引当金を積む必要がある。三井住友フィナンシャルグループは最大の5500億円の不良債権処理損失を計上した。
本業も厳しい。各行の重要な収益源として定着しつつあった金融商品の窓口販売(投資信託と保険商品の合計)は6グループ合計で3兆4千億円と前の年に比べて半減し、手数料収入の大幅な減少を招いている。

2.6大邦銀 5グループ黒字確保(4−6月) 最終益は36%減

大手銀行6グループの2009年4〜6月期決算では、09年3月期に大幅赤字となった4グループのうち、みずほFGを除く3グループが黒字に転換。6グループ中5グループが黒字を確保した。しかし合計の最終利益は約2200億円と前年同期に比べ36%減。不良債権処理損失の高止まりなどが響き、業績の本格回復には至っていない。
6グループは三菱UFJFG,三井住友FG,みずほFG,りそなホールディングス、住友信託銀行、中央三井トラスト・ホールディングス。
三菱UFJの最終利益は前年同期比48%増の759億円。りそなは同32%減の547億円。一方、みずほFGは融資が焦げ付いた際に損失が一部補償されるCDSというデリバティブの価格下落で606億円の評価損が発生。4四半期連続の赤字だった。
大手銀はM&Aによる成長を目指す。三菱UFJは昨秋に約九千億円を出資した米モルガン・スタンレーと日本の証券子会社を合併させる方針。三井住友も米シティグループから日興コーディアル証券を買収し、証券業務を強化する。早期に成果を示し、投資家を納得させられるか。大手銀への視線は厳しさを増している。

3.今年上期 邦銀 世界シェア拡大、欧米勢は後退。協調融資や債券引き受け

企業向けの協調融資や債券引き受けを巡り、世界市場で日本の金融機関の存在感が高まっている。協調融資ではメガバンク3行の2009年上期の融資シェアが1)%と前年同期の約2倍に膨らんだほか、債券発行に伴う引受手数料シェアも高まった。欧米記入機関の貸し渋りや国際事業の縮小を背景に、グローバル企業が資金調達の際に欧米から日本の記入機関に乗り換える動きが相次いでいるためだ。
09年上期の世界の協調融資総額(7847億ドル)のうち、三菱UFJFG、みずほFG,三井住友FGの3メガバンクの融資合計額のシェアは前年同期の11%から19%に高まった。シェア拡大は日本企業が借入先を外銀から邦銀に切り替えた影響が大きい。公的資金を受けた欧米銀が国内融資を優先して国外融資を抑えたため、グローバル展開する海外企業が邦銀に乗り換えるケースも増えた。上期の大型協調融資案件トップ5のうち仏電力公社(EDF)、独ポルシェの2件は三菱UFJが主幹事に入った。
債券市場でも日本勢が頭角を現している。3メガバンクに野村證券、大和証券SMBCを加えた5社の手数料収入の市場シェアは北米で08年通期の1.2%から09年上期は2.2%に。欧州はそれぞれ0.9%から1.9%に上昇した。欧米銀行の肩代わりで企業の融資に応じ、その後の債券発行で引き受け主幹事を依頼されるケースが多い。
世界の債券の大型発行トップ5のうち製薬大手ロシュ(スイス)とファイザー(米国)の社債2件は三菱UFJが引き受け主幹事を務めた。野村証券はギリシャ政府、野村と大和証券SMBCは欧州投資銀行、みずほは米ダウケミカルの債券発行で主幹事に入った。
5社が全世界で得た債券手数料収入のうち欧米の割合は36%と08年通期(19%)から高まった。三菱UFJの米モルガン・スタンレー出資・提携、野村証券による米リーマン・ブラザーズのアジア・欧州部門買収など欧米金融機関を取り込む動きが加速したこともシェア拡大の背景にある。

4.銀行に何が欠けているのか。営業現場重視へ体制見直し。
みずほFG社長 塚本隆史氏

Q:金融危機を通じてどんな教訓を得たか。
A:グローバルにビジネスを展開する際のリスク管理の重要性を再認識させられた。過去の実績や統計に基づくリスク管理で安心していたが、将来起こりうる負荷を考慮した戦略作りが極めて重要だ。欧米は市場からの直接金融に軸足を置いていたために危機が起きて投資家が一斉に引くと資金調達の手段がなくなった。日本は間接金融の比重が高かったので、被害が割と小さくおさまったのではないか。
Q:危機を経て銀行をどう変えていくか。
A:原点回帰だ。つまり顧客と営業現場に立脚したバンキングを徹底的に推進する。顧客のニーズに対応するには、営業現場が意思疎通して主体的に行動する循環が欠かせない・本部もより営業現場重視の施策を考え、優秀なスタッフは営業の一線に出て顧客と直接渡り合って行動してもらいたい。本部の行員はどうしても前例踏襲主義、保守主義に陥りがちで現場の新しいことを今ある処方箋で解決しようとする。これが顧客の欲求不満の種になる。顧客志向、現場志向、未来志向がキーワードだ。
Q:銀行が果たす使命は。
A:一言では、統合の理念再び、ということ。顧客に最高水準の金融サービスを提供するということ。その基本が一番大事。特に中堅、中小企業向けに円滑な資金の仲介機能を果たしていくこと。金融は実体経済の鏡。実態経済が主役で我々はわき役に過ぎない。

5.主要証券14社が最終赤字に、手数料収入が急減(09年3月期)

証券各社の経営が悪化している。主要証券17社の09年3月期決算は株式売買や投資信託販売の手数料収入の減少が響き、14社が最終赤字となった。大和証券グループ本社も850億円の赤字。三井住友フィナンシャルグループが日興コーディアル証券の買収で基本合意したのを契機に今後証券界の再編圧力が一段と高まることになりそうだ。
前期は東京証券取引所の一日平均売買代金が約3兆3百億円と、前の期に比べ31%減少。昨年9月のリーマン・ショック以降は円高が急速に進行し、それまで好調だった外国債券型の投信販売にも急ブレーキがかかった。
市場混乱が業績を直撃した典型例は個人取引が主力の日興コーデ。収益の二本柱である株式と投信関連の手数料がともに3割減少するなど「市場低迷に比例して取引・販売量も落ち込んだ」最終損益は7期ぶりに赤字となった。最終黒字を維持したのはネット銀行最大手のSBI証券等3社にとどまった。
法人部門も総崩れとなった。「昨年10-12月期を中心に多額のトレーディング損失が発生したほか、世界的な資産バブルの崩壊で自己投資部門の損益も悪化した」証券会社にとって高い収益が見込める新規株式公開や企業の公募増資案件も低水準にとどまった。法人部門の大和証券SMBCが1449億円の最終赤字となった大和は、全体でも6期ぶりに最終赤字となった。今期に入り、株式の売買代金や投信の販売額に改善傾向はみられるものの、「まだ収益環境は非常に不透明」。みずほインベスターズが最大2百億円の資本調達の準備を進めるなど、各社は財務基盤の強化に懸命だ。今月から管理職の給与を10−15%引き下げた水戸証券のように、経費削減も続けている。
ただ手数料の安いネット取引の浸透で、証券会社の収益基盤は細っている。リストラ余力も限界に近づいており、厳しい収益環境が長期化すればさらに一段の再編は必至だ。

主要証券17社の2009年3月期連続最終損益(単位億円)

・野村 ▲7094 (▲678)
・大和 ▲850 ( 464)
・三菱UFJ ▲454 (  81)
・みずほ ▲345 (▲4187)
・日興 ▲146 (  17)
・新光 ▲135 (  94)
・岡三 ▲19 (  56)
・SBI証券 101 ( 119)
・SMBCフレンド 16 ( 113)
・みずほインベスターズ ▲250 (  53)
・マネックス証券 ▲21 (  72)
・楽天 ▲37 (  ▲3)
・カブコム 36 (  60)
・いちよし ▲48 (  11)
・丸三 ▲24 (  17)
・東洋 ▲30 (  32)
・水戸 ▲39 (  15)

6.証券18社 最終黒字(4−6月期)株式相場回復 追い風

証券各社の業績に回復の兆しが出てきた。主要証券18社の4〜6月決算では、全社最終損益の黒字を確保した。大手では大和証券グループ本社が4四半期ぶりに黒字を確保した。株式相場の回復や企業の資金調達の増加が追い風になった。ただ金融市場の先行きは不透明感が漂っており、力強い業績回復が続くかどうかは未知数だ。
4〜6月期には日経平均株価が22%上昇したほか、東証の一日平均売買代金も1兆7千億円と、1〜3月期に比べ19%増加。公募投資信託の投資家の新規購入額も43%増えた。企業の株式発行額も回復し、証券会社の収益環境は好転した。
大和は三井住友FGの公募増資で主幹事を務めるなど、投資銀行業務が好調だった。法人取引専門の大和証券SMBCの株式の引き受けなど関連手数料は、前年度1年間(207億円)を1四半期で上回った。株式や債券などを売買する市場取引部門や個人投資家向け投信販売も上向き、最終損益は178億円の黒字を確保した。
5月期新光証券と旧みずほ証券が合併して誕生したみずほ証券は合併に伴う会計上の利益が1102億円上乗せされる特殊要因も加わり、再修理秋は1295億円に達した。
個人取引を主力とする岡三証券グループや東海東京フィナンシャル・ホールディングスも個人マネーが動き出したことが追い風となった。株式委託手数料収入が昨年下期に比べ増え、それぞれ最終黒字に転換。金融危機の影響を受けた昨年下期を底に業績が回復しつつあることを印象付けた。ただ各社は先行きの業績について慎重姿勢を崩していない。市場はまだ病み上がりの状態にあるなど株価の先行きに警戒感を持っているからだ。拡大戦略は採らず、コスト管理に注力すると足場固めを重視する証券会社も多い。各社は通期の黒字確保を最優先課題として経費削減の取り組みを続ける見通しだ。

7.野村証券 リーマン買収、「非銀行」の強み生かせるか。

野村ホールディングスが経営破綻した米大手証券リーマン・ブラザーズのアジア・太平洋、欧州・中東の両部門の買収。迎え入れた約8千人が業務を再開、欧米勢が金融危機で苦闘する中、海外事業を拡大する好機を野村はどう生かしていくのか。
約千9百人の野村社員に、約2千5百人のリーマン社員が合流した野村の欧州部門。投資銀行部門の人事は、リーマンの人事を融合していく際の野村の姿勢を象徴している。 
リーマンの部門買収で、野村はリスクの大きいトレーディング資産や投資用不動産などを引き継がなかった。会社という「ハコ」の買収ではなく、大規模な人材の採用というイメージに近い。それだけに人事政策がスムーズな融合のカギを握る。「重要なのは実力。出身母体による差別はしない」(野村首脳)
M&A助言と株式・債券発行の引き受けに代表される投資銀行業務では、リーマン欧州部門は野村にとって仰ぎ見る存在。リーマンが欧州で手掛ける進行中の案件数は約2百本と、野村の数倍の規模に達する。2007年のM&A助言金額ランキングでは野村は欧州では51位に過ぎなかった。リーマン分を取り込めば10位になる計算だ。アジアでも7位から5位に浮上する。
株式部門でも、欧州株と日本株の売買高でともに世界首位のリーマン部隊を獲得。野村は自前で実現できなかった「グローバル投資銀行」の地位を、リーマン買収で手にした。
米国では、ベアー・スターンズがJPモルガン・チェースに吸収され、メリルリンチもバンク・オブ・アメリカに身売りした。残るゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社に転換。欧米市場では「投資銀行」が次々と姿を消し、「商業銀行」に衣替えした。「世界で最後に残った独立系のグローバル投資銀行」。を野村は狙った。
8千人のリーマンの舞台は動き出した。ただ、彼らをマネジメントするのは容易ではない。

8.野村証券 人材融合、自己変革迫る。リーマン パートナーへ。

リーマンの収益源だった株式部門。大手ヘッジファンドや年金基金を顧客に持ち、高速で発注できるシステム取引に強みがある。その心臓部が野村が買収したインド拠点。社員3千人の平均年齢は27歳。欧州・アジアの真ん中に位置し、世界中の企業分析モデル医やシステム開発、管理を請け負う。
「世界への飛躍」に向け、野村は手にしたヒトトインフラをどう生かすのか。連結人員の4割に相当し、国籍も業務も多種多様。生き馬の目を抜く、世界の資本市場を舞台に働いてきた8千人分の異文化を受け入れた。その結果、「自らも変わらなければ市場でも生き残れない」という危機感も漂い始めた。リーマン出身者を登用するために執行役員制度を導入した。「執行役」が戦略を担い、専門分野の業務は「執行役員」が統括する。日本の法規制に縛られる執行役とは別枠の報酬体系を用意し、リーマン出身者を執行役員に昇格させる道を開く。従来の報酬体系では、欧米の競合他社に人材が流出しかねないためだ。
「本当の正念場はこれからだ」(野村首脳)JPモルガン証券の試算によると、野村が負担する報酬など人件費は最大1千億円。「経費が先行すれば収益に下振れ圧力がかかる。グローバルな金融機関の地位を確保するには社員の動機づけとマネジメントがカギ」と指摘する声もある。
金融危機は投資家を傷つけ、投資銀行にも経営モデルの転換を迫っている。リスクを取って負債を膨らませ、高収益を上げるー。かつてのリーマンが得意だった「従来手法は崩壊し、もはや通じない。顧客と向き合うモデルをどうやってつくっていくか」(古賀野村証券会長)。まだ誰も答えを見つけていない課題を前に、社員一人一人が自己変革を迫られている。

9.野村、業績連動の報酬制、法人部門社員の45%移行

野村証券は7月から、社員の報酬が業績に連動する成果報酬型の雇用制度を導入する。新たに導入する「特定社員」と呼ぶ職種を社員が自ら選択できるようにするもので、国内の法人取引部門では全体の約45%の社員が同職種に移行する模様。外資系記入機関と似た働き方を取り入れることで、旧リーマン・ブラザーズ出身の社員との人材の融合を急ぐ。
移行の対象となる約2400人の国内社員のうち、7月から特定社員になることを決めたのは約850人。中でも国内法人取引部門(約1600人)では約45%となる700人強が特定社員となることを決めたようだ。
特定社員になると、個人や所属する部署が上げた業績が報酬にほぼそのまま反映する。従来の報酬体系では会社全体の業績に連動する部分が大きかった。また部門間の異動がない専門職となるため、個人の成果次第で高い報酬を得られる可能性がある反面、定年までの終身雇用の保証や企業年金制度などはない。
野村は昨秋に旧リーマンから約8千人を受け入れたのを機に、日本と海外では異なっていた社員の評価手法や処遇方法を一元化。法人取引部門の社員を中心に、国内で働く野村の社員も旧リーマンの働き方に近い特定社員制度を選べるようにした。

10.野村、企業再生に本格参入、資金調達・M&A助言

野村証券は企業再生ビジネスに本格参入する。投資銀行部門内に7月に経営不振企業に対して資金調達やM&A、資産売却などを助言する専門の部署を新設する。景気低迷を背景に日本市場でも再生ビジネスの需要が一段と膨らんでいくと判断。同事業に詳しい社内の専門人材を集め、企業再生の指南役を目指す。
経営不振企業や破たん企業の立て直しを手助けする再生ビジネスは、法的整理に関する知識など特殊なノウハウが要求される金融分野。再生ビジネスが発達した米欧市場では多くの金融機関が同事業を手助けする専門部署を設置しており、同分野に特化した独立系会社も存在する。
新設する新部署は、経営難に陥った企業の財務アドバイザーとなり、再建計画の策定などを助言。経営再建に必要な資金調達を引き受けやM&A助言などのサービスを提供するほか、債務削減についてアドバイスしていくとみられる。

11.野村、助言役に。欧州の大型買収案件、国外では過去最大級

野村證券の英国現地法人である野村インターナショナル(ロンドン)は、スイスの資源大手エクストラータによる英資源大手アングロ・アメリカンの敵対的買収提案(買収額約4兆円)に関連し、アングロ・アメリカン側の共同アドバイザー業務を獲得した。野村が国外で絡むM&Aの規模としては、過去最大級。
外国企業同士の大型敵対買収に日本の証券会社が絡むのは珍しい。野村以外では、UBSとGSも助言役を引き受けた。
野村は昨年秋にリーマン・ブラザーズの欧州・中東地域の主要事業を統合した。欧州企業の増資などでも主幹事獲得に成功しており、買収効果が広がりつつある。

12.野村6四半期ぶり黒字 4〜6月市場取引部門が改善

野村ホールディングスの2009年4〜6月期決算は最終損益が114億円の黒字となり、6四半期ぶりに黒字転換した。金融市場が落ち着きを取り戻したことで、市場取引部門の業績が大幅に改善した。最も利益水準は低く、昨年10月に一部事業を引き継いだ米リーマン・ブラザーズとの統合効果をいかに引き出すかなど課題も多い。
野村は米サブプライムローン問題が深刻化した昨年初めから赤字幅を広げ、09年3月期決算で7081億円と国内上場企業で最大級の最終赤字を計上。4〜6月期は債券や株式市場がともに平静に戻り、最悪期を脱した。
牽引役は債券や株式、デリバティブなどを売買する市場取引部門。同部門は3月までの半年間で4千億円を超える税引き前損失を記録したが、4〜6月期には623億円の利益を計上した。個人真似^は動き始めたこともプラス要因。大型ファンドの募集を増やし、4〜6月期の投資信託の販売手数料は前年同期比49%増え、個人取引など国内営業部門の税引き前利益は同72%増えた。法人取引では企業の大型公募増資で相次いで引き受け主幹事を獲得し、手数料を積み上げた。
またリーマン統合後の新体制が本格稼働し、海外ビジネスが拡大し始めた。ロンドン証取の対顧客取引シェアで野村は6月に初めて首位を獲得。4〜6月期の株式と債券部門では、いずれも海外での収益が国内収益を初めて上回った。ただ負債を時価評価した結果、約400億円の会計上の評価損が発生し、利益を圧迫した。
Sなど米大手に比べると利益水準は低い。GSは4〜6月期に債券部部門で68億ドル、株式部門で32億ドルの収益を稼いでおり、野村の同じ部門のそれぞれ約6倍、約3倍の水準となった。
今後も市場環境の落ち着きが続くかどうかは不透明だ。アジア・欧州ではリーマンとの統合効果をさらに引き出すほか、なお赤字が続いている米国市場の収益基盤の強化が急務だ。

13.ウォール街型経営の幕
野村ホールディングス会長 氏家純一氏

Q:米国発の金融危機が深刻になった理由は。
A:米投資銀行5社の総資産合計を見ると、90年代に米GDPの1割前後だったのが昨年には3割を超えていた。金融資本市場が異常な状態に拡大していた表れだ。米国は長期金利が上がらない時期が続いた。その結果、投資銀行は利ザヤを稼ぐために運用資産を膨らませた。バブルがはじけた。現在はその反動で金融資本市場で信用収縮が急速に進んでいる段階。サブプライムローンに代表されるように膨張した金融と結びつきが深い住宅市場では影響は続くだろう。
Q:米GSなど主要証券会社が相次いで銀行持ち株会社になりました。
A:FRBの規制下に入ることで資金調達力を高めるのが狙い。ただ規制対象になれば自己資本を大幅に上回って資産を膨らませるレバレッジ経営はできなくなる。米国の大手証券会社は債券などを担保にした取引などで短期に資金調達をし、一定のリスクをとって利ザヤを抜き、資産を証券化して転売して手数料を確保した大きな収入を確保してきた。それができなくなる。米ウォール街の証券会社が収益の根源としてきたこの手のビジネスモデルは、なりたたなくなるだろう。
Q:証券会社の次のモデルは。
A:高いレバレッジに頼らない経営だ。資産運用業務や企業のM&A仲介業務など特色を生かした経営だ。こういうモデルをいくつか組み合わせることで資産を過度に膨らませずに収益の確保を目指す。こうした取り組みが広がるはずだ。
Q:野村ホールディングスがリーマンのアジア、欧州・中東事業を買収するなど日本の金融機関の海外進出が目立ちます。
A:日本の主要産業が世界のどこでもモノを作り販売する中で、日本の金融機関だけが日本からほとんど動かないのではやりきれない。80年代に日本勢は海外進出を加速し、90年で会いに自らの不良債権処理に追われて消えた。今後の海外進出は、かつての経験を生かさなければならない。

14.証券、何が欠けているのか。株主利益偏重 行き詰り
大和証券グループ本社社長 鈴木茂晴氏

Q:昨秋からの金融危機を通じて浮かび上がった問題点は。
A:株主の利益だけを極端に追求していくここ数年の金融機関の経営手法が金融危機で破たん。バランスシートでレバレッジを膨らませ、自己資本利益率の向上を目指すビジネスモデルは完全に行き詰った。
Q:危機を受け、金融機関の経営はどう変わっていくべきか。
A:あらゆる金融サービスを扱う「金融コングロマリット」は解体に向かう。商業銀行と投資銀行の二極化も進む。預金を抱え社会インフラでもある商業銀行はリスクを取るべきものではなく、投資銀行は本来リスクを取るビジネス。役割が明確になる。銀行と証券のファイアウォール規制の緩和も、両者が一体になっていくことを意味しない。両者の利益背反などを金融機関自らが厳しくチェックする時代になったということだ。
Q:欧米に比べて、日本は資産運用業務が未成熟ではないか。
A:日本では伝統的に基準価格が上がれば投資家がファンドを売却する傾向が強く、高い運用成績を追求するプロの運用者が育ちにくかったのは事実。だが時代は変わりつつある。運用会社には能力の高い人間も多く、優秀なファンドマネジャーがこれからは出てくる。
Q:大和証券グループが今後目指す姿は。
A:証券会社の社会的使命を果たすこと。年金を含めた個人セクターに偏在する余剰資金を、資金需要の大きい企業へと円滑に流すのが我々の本来の役割。金融の世界ではリスクの把握が困難。金融業界で使われているVARという指標も、99%の確率でしか把握できないという限界がある。その限界を埋めるのが社員の会社へのロイヤルティの高さ。社員それぞれが働いている意義を自覚できる会社を目指していきたい。

15.M&A助言、国内証券回帰、年初からの金額シェア 野村など上位独占

日本企業へのM&A助言ビジネスで、国内証券への回帰が進んでいる。今年4月までの助言ランキング(金額ベース)では、野村証券など国内勢が上位を独占した。昨年の金融危機以降、多くの外資系金融機関が日本の陣容を縮小したほか、景気後退で銀行との結びつきを強めたい企業が国内の銀行系証券への依存を強めていることが背景にある。
今年1月―4月に日本企業が買収側、被買収側のいずれかとなったM&Aは916件。買収額は約2兆2千億円だった。世界同時不況で業績が急速に悪化したことが響き、足元の買収額は前年比半減ベースとなっている。
M&Aの助言ランキングでは国内証券の躍進が目立つ。野村證券は前年の2位から1位に浮上。みずほ証券は13位から2位に急浮上し、大和証券SMBCも順位を7位から3位に上げた。
一方、昨年1位の座にあったゴールドマン・サックス証券は、13位に後退。モルガン・スタンレー証券も昨年の3位から5位に下げた。
外資系のリストラで国内系が相対的に優位になっているからだ。野村はキリンホールディングスの比サンミゲルビールへの出資、アサヒビールの青島ビールへの出資など、外資系が強かった国際案件を相次ぎ獲得。みずほも日本製紙グループ本社による豪製糸会社買収など、グループの銀行と企業との強固な関係をもとにした案件に関与した。
多くの日本企業は業績が苦しい中でも、成長分野への投資は必要として、M&Aに旺盛な意欲を示している。リストラが一段落した外資系も、収益機会が見込めるM&A分野には人材を重点配置しつつある。助言業務で上位の地位を維持できるか、国内証券の真価が問われる。

16.運用会社の収益悪化 前期最終利益10社で4割減 投信残高が大幅減

世界的な金融危機の影響が大手運用会社の業績を圧迫している。大手10社の2008年度の最終利益は合計で421億円と前の期に比べ44%減った。運用残高が大幅に減ったことが原因で、各社とも人員の削減など対応を迫られている。前の期に特別損失を計上して最終赤字となったフィデリティ投信を除いて、9社が2ケタの大幅減益となった。運用会社は主に金融機関を通じて投資信託などを販売するが、収益の源泉は運用資産に応じて受け取る信託報酬。株安と円高の影響で公募株式投信でみて10社合計の運用残高は3割近く減り、営業利益が落ち込んだ。
運用資産のうち、値動きの小さい債券の比率が高い国際投信投資顧問などは営業収益の落ち込みが小さかったが、株式の比率の高いところは厳しい。
07年までの投信市場の拡大期に人員を拡充してきたが、収益環境の悪化を受けてコスト圧縮に乗り出している。フィデリティ投信は08年度中に従業員を約2割削減、日興アセットマネジメントも1割減らした。
足元では株式相場の上昇を受けて運用資産は増加に向かっている。09年6月末の公募株式投信の純資産残高は45兆8918億円と3月末に比べて14増加した。しかし07年までの資産規模は下回っており、本格的な回復には時間がかかりそうだ。

17.三井住友が日興コーデ買収。3メガ銀、証券強化策競う。

三井住友フィナンシャルグループが、米シティグループとシティ傘下の日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の大半の事業を4月に5千億円強で買収決定。三菱UFJフィナンシャルグループも、3月、米モルガン・スタンレーとの傘下証券統合を発表。逆風下にあって三メガバンクが買収・再編で証券戦略を競い合っている。
日興コーデは野村證券、大和証券グループに次ぐ個人向け販売網を誇る三大証券の一角。業績悪化で米政府の公的資金注入を受けたシティが今年初めから売却を模索し、日本の三メガ銀が買収に名乗りを上げていた。三井住友とシティ側は5月1日にも発表。銀行が大手証券を参加に収める初めての事例になる。
今回の日興コーデ買収で個人顧客を相手にするリテール証券分野では、三井住友が大手行グループの中で一歩リードする。従来傘下にあったSMBCフレンド証券は業界中位に過ぎなかったが、日興コーディアルを足し合わせると預かり資産などで一気に銀行系で首位に踊り出る。

18.住信、日興アセットマネジメント買収、資産残高35兆円 メガバンクに匹敵

住友信託銀行が米シティグループ傘下の大手資産運用会社、日興アセットマネジメントを買収した。買収額は1124億円。住友信託は運用残高が約35兆円とメガバンクに匹敵する国内有数の資産運用グループに浮上、個人向け運用ビジネスを強化する。
世界的な金融混乱で経営危機に陥った米シティは今年1月、リストラの一環として非中核事業を売却すると発表。日興コーディアル証券を三井住友FG、日興シティ信託銀行を野村グループが既に買収を決めている。日興アセットの売却も決まったことで日興グループ各社の売却問題が決着する。
日興コーデ、日興アセットは既に米シティの売却後を見据えた戦略に舵を切り始めている。日興コーデでは4〜6月の投信販売の上位5位を占めたのは、いずれも外資系が開発した商品。「系列運用会社と支え合うのは過去の経営モデル」として、今後も個人需要を重視した販売戦略を進める。

19.激減IPO 不祥事続き強まる不信 退場ルールの整備が急務

200年に新興3市場体制となって以来、東証一部に出世した新興企業は一握りにとどまる。業績不振で不正に手を染めるケースも後を絶たない。問題を抱える企業の退場ルールを整備するなど、上場銘柄の質を高めることで投資家の信頼を回復することが急務だ。
個人投資家の新興市場離れは鮮明だ。ジャスダック証券取引所の売買代金ではライブドア・ショック前後の06年1月に8割を個人が占めたが、08年11月は5割を割った。
相場低迷に加えて新興市場銘柄の魅力低下が根底にある。新興市場の直近期の最終損益と期初計画を比較すると、全体の6割が未達だった。これまでに一部・二部市場に鞍替えした新興企業は計120社にとどまる。今年のIPO組でも、49社中、10社超が下方修正した。
資金調達などに絡んだ反社会的勢力とのかかわりが、市場関係者の間でささやかれる新興企業は後を絶たない。日本の新興市場がモデルにした米ナスダック市場の上場廃止ルールは厳しい。新しいビジネスモデルを持つ企業をIPOさせ、育てることが新興市場の役割。退場ルールの整備で上場企業の質を高め、信頼を回復することがIPO復活の糸口となる。

20.新規株式公開、低水準に。1〜6月9社 景気悪化で見送り

企業が株式を新たに公開するIPO(新規株式公開)が急減している。2009年1〜6月は9社と前年同期より15社減った。バブル崩壊の影響を受けた1992年上期の3社に次ぐ低水準。昨年秋以降の急速な景気悪化で株式公開を見送る企業が相次いでいる。証券取引所の上場審査が厳しくなっていることや、上場に伴い負担が増える割に資金調達などのメリットが乏しいことも一因だ。
業績悪化で証券取引所が定めた利益や純資産の審査基準を満たせないケースが増えている。今年上期の上場を目指した企業は、景気が急速に冷え込んだ08年末から09年にかけて審査を受けた。VC大手、ジャフコは、「事業計画通りに業績が伸びない投資先が増えている」と指摘する。VC大手4社の国内投資先のIPOは今年はまだゼロだ。
ライブドア事件以降、新興企業に対する信用が低下していることもあり、証券取引所は上場審査を厳しくしている。業績が安定的に成長するかどうかも審査対象だ。09年のIPOは東証2部の企業が半分弱を占めており、業績に安定感のある企業が目立つ。
新興市場の売買代金の低迷から大規模な資金調達も難しい状況だ。1社平均の調達額は08年比14%減の7億9700万円にとどまっている。薄商いの中で大量の株式を売り出すと吸収しきれず、株価が公募価格を割り込む恐れがあるためだ。09年3月期から内部統制報告制度が導入されるなど上場企業の負担は重くなっている。また、09年は株券電子化に伴う移行作業で年初から約1カ月、IPOが停止した。下半期から急回復も見込みにくく、09年は1年間を通じてもIPOは20〜30社にとどまり、08年の49社から半減するとの見方も出ている。

21.苦境、ベンチャーキャピタル

米国ではシリコンバレーを中心に、環境ベンチャーが次々に立ち上がっている。1990年代のIT革命も米国の新興企業が主導した。起業家を大切にするビジネス風土、世界から集まる知的エリート、将来性を見極めて資本を提供するベンチャーキャピタルの相乗効果が、米国の技術革新を引っ張っている。
日本も乗り遅れまいと、98年には中小企業等投資事業有限責任組合法や大学等技術移転促進法を制定し、2001年9月には上場前の第三者割当増資規制を緩和して、新興企業にオカネが集まる仕組みを整えた。当時のITブームも手伝って、00年前後には日本にも相次いでベンチャーキャピタルが設立された。
それから10年経ち、多くが苦境に陥っているという。ベンチャーキャピタルは金融機関や一般企業、富裕層などのオカネを集めてファンドを組成し、有望新興企業に投資して上場益などを得る仕事だ。ファンドの償還期限である10年目を迎え、思惑はずれが相次いでいるのだ。
そもそも景気が低迷しているために倒産する投資先も多い。投資先企業の上場もしにくくなっている。新規上場企業数が昨年は49社と07年の121社の4割の水準に留まり、今年1〜6月はまずか9社を数えるだけ。「取引所の上場審査が厳しくなった上に、基準が不透明になった」と語るベンチャーキャピタリストもいる。
米国ではベンチャーキャピタルが1年間に282億ドル(約2兆7千億円=08年実績)を新興企業に投資している。日本では1933億円に留まり、年々減少している。しかも政策当局者からは、「日本のベンチャーキャピタルには期待していない」という声もでる。
新興企業は日本社会に夢と躍動感を運んでくる。世界の環境重視企業に投資する英国の機関投資家は「日本には技術開発動向が気になる環境ベンチャーは1社もない」と話していた。新しい起業を育てる担い手の衰弱を放置すると「未来への投資」ができなくなる。

22.2008年の日本企業による海外企業へのM&A

日本企業による海外企業へのM&Aが盛んだ。2008年の日本企業による海外企業の買収は総額7兆4621億円と前年の2.6倍に。世界的な景気後退局面を向かえ、業績悪化が深刻化、日本企業は世界市場でのシェア獲得に生き残りをかける動きを加速している。
旺盛なM&A意欲を支えるのは円高傾向がある。輸出関連企業にとって収益の重しとなる円高も、海外M&Aに活路を模索する内需型企業にとっては千載一遇のチャンス。ことし2月には日本製紙グループ本社が豪のオーストラリアンペーパーの買収を決めた。
リスクも付きまとう。第一三共は買収したランバクシー・ラボラトリーズの株価が世界同時株安の影響を受けて急落。のれん代の一括償却で特別損失約3500億円を計上するため、今期は最終赤字に転落する見通しだ。急速な消費の冷え込みへの対応で、09年は国境をまたいだ業界再編が加速する可能性がある。日本企業はM&Aで世界市場への足場を固め、成長への足がかりにしようとしている。

金額(億円) 当事者 相手
1位 9480 三菱UFJフィナンシャルグループ 米モルガン・スタンレー
8998 武田薬品工業 米ミレニアム・ファーマシューティカルズ 
5800 新生銀行 GEコンシューマー・ファイナンス
4994 第一三共 印ランバクシー・ラボラトリーズ
4987 東京海上ホールディングス 米フィラデルフィア
3120 伊藤忠など ナミザ(ブラジル)
3000 丸紅など セノコ・パワー(シンガポール)
2640 NTTドコモ 印タタ・テレサービシズ
2000 TDK 独エプコス
10 1980 丸紅 アントファガスタ(チリ)

23.生保、減配・無配相次ぐ。評価損、9倍の2.8兆円。主要生保09年3月期

09年3月期主要な生命保険13グループ決算は、保有する株式などの価格下落で有価証券評価額は前の期比9倍となる2兆8千億円に膨らんだ。一方、損失の穴埋めに備える準備金の残高は前の期に比べ3分の2程度に減少。財務悪化で減配・無配に陥る生保が相次いだ。運用環境の好転は見込みにくく、厳しい状況も続く見通し。苦境脱出へ祭へ夏力が高まりそうだ。
ここ数年は大手生保を中心に増配が続いていたが、09年3月期では第一生命保険、富国生命保険、T&Dホールディングス傘下の大同生命保険が減配、大幅な赤字を計上した朝日生命保険、三井生命保険が無配に転落した。
外資系生保などを加えた13グループでみると、最終赤字を計上したのは5グループ。日本生命保険など4台生保は準備金の取り崩しで最終黒字を確保したが、実質的な収益は赤字で法人納税額はゼロとなった。
運用環境の悪化は「逆ザヤ」の拡大を引き起こした。実際の運用利回りが、契約者に約束した利回りを下回る際に発生する逆ザヤは、13グループで前の期の3倍近くに拡大。逆ザヤで出た損失はほかの利益で穴埋めする必要があり、収益圧迫要因となった。
生保の財務基盤を支える有価証券の含み益も約7200億円と、前の期に比べ約10分の1に減少。00年前後の生保危機に比べれば財務はまだ健全だが、市場環境の激変に対応する余力は小さくなっている。
金融危機に伴う財務基盤悪化は生保に再編を迫りつつある。金融危機の爪痕が残る中、リスクの高い投資は難しく、運用で収益を上げるのは困難だ。景気の長期低迷に加え、少子高齢化などによる国内生保市場の縮小も避けられない。
大幅な最終赤字を計上した三井生命は、住友生命保険との提携強化を余儀なくされた。共同出資の保険会社設立を発表するなど距離は確実に縮まっている。
AIGの傘下生保に続き、金融危機の痛手を受け日本からの撤退を模索する外資系生保のM&Aのうわさも絶えない。金融危機で受けた痛みに応じて各社間の財務体質の格差も広がっており、再編圧力はじわり高まっている。

U日系金融機関の雇用情勢

1. 証券従業員 6年ぶり減 6月末9万7千人 金融危機が影響

証券会社の従業員が大幅に減っている。日本証券業協会によると、今年6月末の従業員数は前年同月比5.5%減の9万7438人。金融危機による業績悪化で、多くの証券会社が人員の削減や採用の抑制に踏み切ったのが主因だ。業界全体の従業員数は昨年6月に10年ぶりに10万人を超えやが、わずか1年で再び10万人を割り込んだ。
ここ数年の人員増加傾向が一変したのは、昨年秋のリーマン・ショックがきっかけ。日興コーディアル証券やみずほインベスターズ証券が希望退職を募集したほか、ゴールドマン・サックス証券やモルガン・スタンレー証券などの主要外資も前期に従業員を15%以上減らした。
今期に入っても一部の外資がリストラを継続したり、国内中堅証券が採用を控えたりする動きが続いた。
ただ、足元の株式市場の回復で戦略部門の人員増強に転じる証券も出始めている。リーマン・ブラザーズの欧州・アジア事業を買収した野村ホールディングスも海外で陣容を大幅に拡大している。

2.人材紹介薄明かり 外食・金融で回復 条件厳しく採用は慎重

正社員の転職を仲介する人材紹介市場で、求人数の下げ止まりが鮮明になっている。在庫調整を進めてきた化学・鉄鋼など製造業をはじめ、外食や金融など様々な業種が生産の回復や新分野への重点投資などに応じた求人を出し始めた。ただ、企業の採用姿勢は依然慎重で、条件を絞り込んだ少数の「ピンポイント採用」にとどまっている。求人数が反発し市場全体が活性化するにはまだ時間がかかりそうだ。
人材紹介最大手の調べでは、化学・鉄鋼・材料が7月前月比5.4%増、レジャー・スポーツ・外食」が同12.5%増、金融が同19.1%増など9業種中6業種で増加した。
ただ全体の求人数は半減したままだ。案件内容を見ても経験や技術を細かく特定したものが多く、一致しない限りなかなか採用しないなど企業の慎重姿勢はまだ崩れていない。
消費財やサービスなどの商品開発部門では「新しい発想」を持つ人材を重視しているため、経験や業界にこだわらず、幅広い層に門戸を開いている求人が多い。だが、1〜2人の採用枠に100人近い応募者が殺到している状況だ。求人数回復の動きが定着するかどうかが今後の雇用情勢のカギとなる。

3.失業率、7月最悪の5.7% 雇用悪化 歯止め利かず

7月の完全失業率は」5.7%。経験したことのない最悪の水準で、一人当たり有効求人倍率も0.42倍と過去最低だ。雇用安定社会は簡単に取り戻せそうにない。
失業者は359万人。金融危機の昨秋から100万人も増えた。失業率は昨秋から2ポイント近く悪化。バブル崩壊後に記録した5.5%の壁をあっさり飛び越えた。
エコカー減税などの効果で生産はそろそろ底入れとされる自動車業界。雇用増は三菱自動車が水島で3百人の期間従業員を採用する程度。トヨタなどは休日出勤などで対応し、本格採用に踏み切れない。電機業界では今年度中にソニーが国内外で1万6千人以上の従業員を、東芝も国内の非正規社員3900人を削減する計画だ。動きは非製造業にも広がってきた。三越が大規模な正社員削減の検討に入った。
雇用はもう一段悪化する恐れをはらんでいる。来春の新卒採用は今年より2割減る見通し。働き先に困る若者が大量に出る。失業率急上昇の一因は人員削減の対象になりやすい非正社員の増加だ。「就職氷河期」が再来すれば非正規がまた増える。
雇用悪化は若い世代に響いている。25〜34歳の失業率は最悪水準の7.1%。働き盛りの35〜44歳も4.9%と高く家計収入への打撃は大きい。
「政府はノウハウで勝る転職支援企業などと組んで官民で雇用のミスマッチ解消に力を注ぐとき」と日本総合研究所の山田久氏は話す。中途採用市場の活性化も大切だし、ワークシェアリングなどの試みも重要だ。

V外資系金融機関の現状

1.外資系証券、前期は不振。大手、5社が最終赤字。

外資系証券大手10社の2009年3月期決算はドイツ証券やUBS証券など5社が最終赤字となった。金融危機の影響で外国人投資家が日本株の売買を減らしたことや、国境を越えた企業のM&Aが減少したことなどが響いた。人員削減で費用圧縮を進めたが、収入の落ち込みを補えなかった。
ドイツ証券は最終赤字額が437億円に上った。デリバティブ取引などで損失を被った。モルガン・スタンレー証券は06年の株式会社への移行で発生したのれん代の償却費用(433億円)などを補えず、赤字に転落した。
JPモルガン証券、クレディ・スイス証券、バークレイズ・キャピタル証券の3社は投資銀行業務でシェアを拡大し、最終黒字に転換。ゴールドマン・サックス証券は減収減益ながら、国債や為替などのトレーディングで前の期比7.8倍の297億円を稼ぎ、純利益は519億円となった。

2.米金融大手 6社すべて黒字 4〜6月事業売却で一時利益

米金融大手6社の4〜6月期決算は全社の最終損益が黒字となった。収益の重しであった有価証券の評価損失が消え、各社が金融危機の影響から脱しつつあることを印象付けた。ただ、4〜6月期は事業売却などの一時利益に支えられた面も大きく、業績が再び悪化する懸念が残る。
モルガン・スタンレーの最終利益は前年同月比87%減の1億4900万ドル(約140億円)。ただ、特別利益を除く継続事業ベースでは赤字で、収入も前年同期比11%減と厳しい決算となった。債務の時価評価による会計上の損失や公的資金の返済による費用が発生した。
大手銀ウェルズ・ファーゴも最終利益が前年同期比81%増の31億7200万ドル(約2970億円)と過去最高になった。大手銀ワコビアとの合併で収入が2倍に増加した。米金融大手がそろって黒字になるのは07年4〜6月期以来。
ただ、シティグループなどは資産売却の利益が大きく、これを除けば赤字だった可能性が高い。有価証券の値下がりに歯止めがかかる一方、個人向けを中心に不良債権が急増。JPモルガン・チェースの不良債権比率は2,17%と前年同期の2倍超に上昇した。今後も米景気の回復ベースが鈍ければ、不良債権の処理費用が収益を圧迫し続けることになる。

3.世界の08年のM&A、アジア企業攻勢 金融危機、09年は不透明:欧米勢の「アジア買い」既に鈍化

08年のアジア企業を対象にしたM&A総額は前年比10%以上落ち込み、ITバブル崩壊の影響が広がった02年以来6年ぶりにマイナスとなった。米国発の金融危機の影響を受け、国内M&Aや欧米企業による「アジア買い」の勢いが下期から失速した。
一方、アジア企業が海外企業を買収する金額は6年連続で増加。日本と中国企業の攻勢が目立つ。ただ金融危機で企業業績も悪化しており。09年もこの勢いが続くかは不透明だ。
08年にアジア企業を対象としたM&A総額は前年比13%減の7209億ドル(約65兆円)・このうち自国・地域内の企業同士のM&Aは同15%減の5031億ドル。海外企業に買われた案件は同7%減の2178億ドルだった。アジア企業を対象にしたM&Aは7月から前年比マイナスが続き、金融危機が本格化した10月は前年比37%減となった。北米から日本へのM&Aの流れが半減し、インドや豪州への流れも減った。欧州が日中印を買収する額も減少した。世界経済の成長を牽引したアジアへのマネー流入の勢いが金融危機で弱まっている。
一方で、アジア各国・地域の企業が自国外・域外の企業に仕掛けたM&Aは同7%増の2432億ドルで6年連続で増加。海外企業に買われる金額を2年ぶりに上回った。資源確保や事業基盤の拡大を目指し、企業が国境を越えた合従連衡に乗り出している。欧米企業がリスクを伴う投資を抑える中、「買い手」としてアジア企業の存在感が高まってきた。
アジアM&A市場では日本企業も存在感を示した。海外企業の買収総額は1―11月は757億ドルと前年同月比4.1倍。中国の海外企業買収金額の1.6倍で、断トツの存在感を示した。アジア企業が関係するM&Aの金額上位10件のうち、日本企業による買収は3件に上った。今年に入っての円高で、日本企業の相対的な購買力向上が効いているようだ。
米経済の先行きに不透明感が高まる中、中国の人民元も対ドルで価値が高まっている。東南アジアでは通貨価値が安定しているシンガポールも注目。政府系投資会社テマセク・ホールディングスは国内の電力会社3社の株式を中国や日本企業に売却し約120億シンガポールドル(約7500億円)を調達。海外投資拡大に向けた準備を進めている。

中国:官民一体で権益確保

アジアのM&A市場での中国の存在感が高まっている。特に海外企業を買収するケースは1―11月で464億ドルと、前年同期比で2倍弱に増えた。このうち鉱山や原油など資源関連のM&Aが約7割弱を占めた。中国アルミは、2月米アルコアと組んで英豪資源大手のリオ・ティントに12%出資すると発表。中国海洋石油グループも7月、ノルウェーのアウィルコ・オフショアを買収する計画を発表した。官民が一体となって海外権益の確保を進める姿勢が目立つ。
政府系ファンド、中国投資有限公司(CIC)の動向も注目される。貿易黒字を背景に積み上がった巨額の海外準備が原資で、リスク資金の最期の出し手と期待されている。同会長は「割安な企業が増えており、投資のチャンスだ」と明言した。海外企業が中国企業を買収するM&Aも活発で、同22%増の441億ドルだった。中国国内企業同士のM&Aも同21%増の1114億ドルに上った。

東南アジア:中東マネー流入目立つ

東南アジアで目立つのは中東マネーの流入だ。海外企業がASEAN加盟10カ国の企業を買収する案件は1−11月は前年同期比23%増の339億ドルで、中東からは同31%増の86億ドルで25%を占めた。
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ財閥アルフタイムグループは4月、シンガポール大手小売ロビンソン・アンド・カンパニーを買収。東南アジアを足がかりにアジア進出を目指す。
市場か季題や資源確保を狙う域内M&Aも目立つ。マレーシア金融大手CIMBグループは6月、タイ商業銀行バンクタイを買収した。フィリッピンのサンミゲルはインドネシア資源大手への出資意向を表明した。

インド:欧州向けが増加

インド企業もM&A市場で買い手として存在感を高めている。1−11月のインド企業に依る海外企業買収額は中国の半分弱の205億ドルで、昨年同期と比べてほぼ横ばい。ただ今年後半の国内景気減速に伴い、外に向かう勢いは弱まりそうだ。
大手財閥タタ傘下のタタ自動車は3月、英高級車ブランドの「ジャガー」と「ランドローバー」の買収を発表。旧宗主国の英国ブランドを買収するM&Ade、新興国マネーが世界に拡散する象徴として受け止められた。石油最大手のインド石油天然ガス公社(ONGC)やIT大手のHCLによる英国企業買収などが続き、欧州に向かうM&A額は同2倍強に増えた。
だが金融危機の影響も出始めている。「M&Aを凍結せよ」。11月、タタ財閥会長はグループ各社の経営陣に緊急指令を出した。2007年にも欧州鉄鋼大手コーラスを買収するなど豊富な資金力を見せ付けたタタだが,拡張路線は転機を迎えている。
第一三共による製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズの買収などインド企業が買われる動きもあるが、海外企業によるインド企業買収は同27%減の238億ドルだった。
アジア企業が関係する2008年のM&A金額上位5案件

買い手 買収対象 規模(億ドル)
中国連通(中国) 中国網通(中国) 227
ウェストパック銀行(豪) セント・ジョージ銀行(豪) 185
中国アルミ(中国)+アルコア(米) リオ・ティント(英豪) 143
三菱UFJフィナンシャル(日) モルガン・スタンレー(米) 90
武田薬品工業(日) ミレアム・ファーマシューティカルズ(米) 84

4.外資系金融が陣容拡大 投資銀部門や富裕層に重点

昨年秋の金融危機以降、業績の悪化や人員削減が目立っていた外資系金融機関が日本で、戦略部門の陣容拡大に再び舵を切り始めた。市場環境が世界的に回復傾向にあり、グループ全体の財務状況が改善しつつあるためで、成長が見込める投資銀行部門や富裕層向け金融サービスを重点的に強化している。国内の利用者にとっては金融機関の選択肢が広がるほか、日本の銀行・証券会社との競争も激しくなりそうだ。
英系のバークレイズ・キャピタル証券は今後1〜2年で人員を100人強増やし、850人体制とする方針。主に投資銀行業務や日本株の営業・調査部門を拡大する。日本企業のM&A助言などでシェアを高める狙い。同社は昨年10月に旧リーマン・ブラザーズの東京拠点から約100人を採用しており、他の外資系大手を急ピッチで追いかけようとしている。
日本の個人金融資産は1400兆円にのぼる。資金を取り込み、手数料収入を伸ばそうとする動きも再び目立ち始めた。クレディ・スイス証券は今年5月、日本で金融資産10億円以上の富裕層を主な対象とした「プライベートバンキング」事業を始めた。すでに欧米や香港、シンガポールでは多数の富裕層顧客を抱えており、日本でも企業経営者やその家族などを対象に資産運用の助言をしたり、金融商品を販売したりする。
英HSBCグループは昨年1月から金融資産1000万円超の準富裕層を対象にした店舗を首都圏や関西に7店舗展開している。今後は全国の主要都市にも拠点を広げ、地方の富裕層顧客を増やしていく考えだ。
メリルリンチ日本証券はバンク・オブ・アメリカの日本の証券事業を取り込み、日本株営業・調査担当者を増強する動きだ。
昨年秋の金融危機で、外資系金融機関は相次ぎ日本拠点のリストラにも踏み切った。主要10社合計の今年3月末の人員数は9400人と、1年前に比べ11%減少した。しかしグループ全体の決算がここへきて黒字に転換するなど攻勢に転じる余裕が出て、巻き返しに動いている。
ただ再拡大の流れがこのまま定着するかは不透明だ。株価が上昇した結果、外資系の一部部門の人材需要は回復してきているが、再び市場環境が悪くなれば元に戻る懸念もあるとの指摘もある。

5.米金融、正常化の兆し 保護主義に警鐘
米JPモルガン・チェースCEO ジェイミー・ダイモン会長

米国で金融システム不安が和らぎ、市場は正常化に向かっているとの認識。ただ雇用情勢悪化などに懸念を示し、「リスクは保護主義」と警鐘を鳴らした。米政府から受け入れた公的資金については一刻も早く返済する意向を表明。海外の個人向け金融事業に進出する可能性も示した。
米国では株式相場は回復傾向にあり、昨年9月以降の金融危機は最悪期を出した見方が出ている。ダイモン氏は金融市場の現状について「信用力の低い高利回り債券が発行され、株式公開も出てきた」と述べ、政策効果もあり正常化に向かっていると指摘した・
ただ、経済情勢全般に関しては「世界同時不況という第二幕に入っている。失業率の上昇、在庫調整、工場閉鎖が問題になっている。景気回復の時期は分からない」と慎重な見方を示した。
リスク要因として保護主義の台頭を指摘した。具体的には外国人専門職へのビザ発給に規制がかかり、公的資金を受け入れた金融機関は外国人雇用が難しくなったことを例示。「米国は自由貿易の受益者であり、保護守護の影響は計り知れない。当行は世界100カ国で事業を展開する。各国が米国人を締め出したらどうするのか」と述べた。
米政府による大手自動車メーカーなど個別企業への介入を批判。「預金保護などシステムが保全されるならば、企業破たんは許されるべきだ。経営不振企業の株式や優先株の価値はゼロになるべきだ」と強調した。
JPモルガンは利益水準は下がったものの黒字経営を継続。米当局が大手銀行の健全性を審査するために実施したストレステストでは資本増強の必要なしとのお墨付きを得た。同行はサブプライムローン、簿外運用会社(SIV)、債務担保証券(CDO)などリスクの高い事業からいち早く撤退し、金融危機のダメージを最小限に抑えた。守りの一方で、ここ1年は買収など授業規模を拡大。支店では経営不安のある他校から預金を預け替える動きも出た。
「当行は米国内の一部地域に店舗がなく、国際的に個人金融業を展開していない」。「今後は採用増加など独自に拡大していくつもりだが、買収に合理性があれば検討していく」と買収にも意欲を示した。日本市場に関しては「教育や技術力などで優れる日本経済の将来には強気だ」と述べ、有望市場とみていることを明らかにした。

6.総合金融モデルは健在。リスク担当者に高い地位。
JPモルガン投資銀部門スチーブン・ブラックCEO

経営危機に陥った米シティグループやスイスのUBSが総合金融の看板を下ろす一方で、米JPモルガン・チェースは銀行・証券・資産運用と総合金融モデルを維持する。投資銀行部門のスティーブン・ブラック共同最高経営責任者(CEO)は語った。
ライバル行が総合金融から撤退している:
総合金融という事業モデルは健在だ。企業などへの助言、資本調達など金融商品・サービスを常に用意し顧客のあらゆるニーズに対応するのは金融機関として必要だ。当行は08年通年で株式・債券引受、M&Aアドバイザリーなどの投資銀行業務ランキングの大半で世界トップだった。投資銀行で稼いだ手数料は07年に比べ減ったが、それでも過去二番目に高い水準だ。
米大手証券ベアー・スターンズを買収するなど拡大志向が強い:
ベアーを買収したのもヘッジファンド向け業務など長年欲しかった機能をもっていたから。当行に隙間を埋めてくれる会社に興味がある。中国での証券ビジネスに興味がある。
JPモルガンは、証券化商品などサブプライムローン問題に絡む損失が他行より少ない。サブプライムローンの分野は全行ベースで融資や証券化などから早期撤退を決めた。簿外の運用会社も一切保有していなかった。これは当行がまぶる流動性のリスクと比べると収益性が低すぎたからだ。証券化商品の債務担保証券(CDO)も投下する資本の割には利ざやが小さすぎた。
総合金融モデルで必要な経営力とは:
社内コミュニケーション力とリスク対処の企業文化がカギだ。当行はリスク担当者の地位が高く、問題があれば経営トップ以下皆で議論し、社内でも情報が公開されている。監査、法務、財務、リスク管理担当者が営業部門と同等なのが当行の強みだ。
投資銀行業の将来は:
利ざやの高い複雑な記入商品はもう売れない。昔のように資本利益率で20%以上稼ぐことはできない。借入比率の低い事業となる、金融危機前とは姿を変える。米景気は相当悪くなりそうだが、仕事は沢山ある。事業会社による戦略的M&A,非戦略部門の切り離し、負債借り換えに伴う債券発行など顧客企業ニーズは高い。

7.米ブラックロック バークレイズの部門買収 資産運用 日本法人も統合

資産運用で世界最大級の米ブラックロックは年内にも自社の日本法人を買収する、買収する英バークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)の日本法人と統合する。仏ソシエテ・ジェネラルと仏クレディ・アグリコルも2010年春にも日本の運用会社を統合する。世界的な運用会社再編の波が日本に及んだ格好で、高い手数料など日本の市場慣行にも見直し圧力が強まりそうだ。
ブラックロックはBGIの買収を発表し、日本の資産運用規模は約20兆円に上り、国内最大級になる。BGI傘下のiシェアーズは世界の上場投信(ETF)最大手、ブラックロックは統合後、日本でETFを積極的に手掛ける。
日本の銀行や証券会社は販売手数料を稼ぐために投信販売に注力しており、米国などと比べて手数料が高いといわれている。外資系が本国並の手数料で攻勢をかければ、手数料引き下げ競争が広がる可能性がある。
一方、ソシエテ・ジェネラルはクレディ・アグリコルとの資産運用会社統合に関し、日本でも傘下の運用会社を統合する方針を明らかにした。運用資産は約2兆5千億円になる。
金融危機を背景に、世界的に大手金融機関の運用会社売却が相次いでいる。売却益で財務体質を強化する狙いで、バークレイズのBGI売却や、住友信託銀行が米シティグループ傘下の大手資産運用会社、日興アセットマネジメントを買収した。
日本は資産運用会社の規模が小さい。メガバンクが複数の運用会社を抱えるなど非効率な運営も続いており、存在感を増す外資に対抗するため、日本でも再編が加速する可能性がある。

8.欧州銀、収益格差広がる ドイツ銀など7行黒字、RBSなど3行赤字 1〜6月

欧州大手銀の収益格差が広がってきた。主要10行の2009年1〜6月期決算はドイツ銀など7行が黒字を確保する一方、実質国有化されたRBSなど3行は最終赤字だった。各行とも投資銀行部門が持ち直した反面、景気低迷で融資の焦げ付きが急増。不良債権問題は長期化の様相を帯びている。
前年同期比で増益だったのはドイツ銀とバークレイズ、黒字転換がクレディ・スイスで、赤字幅が縮小したUBSを含め4行の業績が改善した。一方、4行(サンタンデール、HSBC,BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル)は減益、RBSは赤字幅が拡大、ロイズ・バンキング・グループは赤字に転落した。
金融危機の一服で各行とも投資銀行部門は持ち直し、利益を底上げした。ドイツ銀はドぷ部門が前年同期の赤字から黒字に転換、全体の純利益は前年同期の4倍に増えた。バークレイズ・キャピタルは米投資銀行リーマン・ブラザイズ北米部門の買収で市場シェアを伸ばし、税引き前利益の3割以上を投資銀部門で稼いだ。投資銀部門の回復の構図は、4〜6月期決算が全て黒字となった米金融大手6社とも共通する。
スイス2行は明暗が分かれた。最大手クレディ・スイスは不採算部門の売却などリストラ効果が表れ、黒字を回復。一方公的資金注入を受け入れたUBSは赤字が続いた。
昨年は投資銀行部門の証券化商品で評価損が急増したが、最近では企業・個人向け融資の不良債権の増加が足を引っ張る局面に移っている。
2行が最終赤字だった英国勢の場合、ロイズは救済買収したHBOSの不良債権の急増が重荷になった。RBSも不良債権の急増で10億4千万ポンド(約1660億円)の最終赤字。スペイン銀最大手サンタンデールは欧州と南米で融資焦げ付きが急増した。
進出先の経済動向も大きな影響を与えた。英銀最大手HSBCは米国の個人金融部門の赤字を中国やインドなど高成長の新興国の利益で補った。一方、ソシエテはロシアで不良債権が増え減益となった。
欧州銀は企業向け融資など商業銀行業務に軸足を置くケースが多く、経済危機が深刻な中・東欧向けの貸し出しも手がけるだけに、米銀より業績回復が遅れる可能性がある。欧州各行の「貸し渋り」が強まれば、個人消費や企業活動に水を差し、欧州景気に回復時期もずれ込みかねない。

9.外資系生保、優勝劣敗鮮明に、AIGショックが契機に

日本で事業を展開する外資系保険会社に「AIGショック」が広がってきた。昨年9月のAIGの実質国有化以降、欧米では保険会社の経営悪化が目立つ。
国内のAIGの中核生命保険であるアリコジャパン。住友生命保険に次ぐ国内5位の保険料収入を誇るが、昨年10月―12月の新契約高は7−9月より36%も減った。銀行を通じた年金の販売が4分の一以下に落ち込んだ。
AIG本社はAIGスター生命保険やAIGエジソン生命保険の売却手続きを進める一方、AIU保険など損害保険会社は売却しない方針だ。アリコの売却手続きも凍結された。一方、エジソンやスターも実質国有化から半年たつのに売却先が決まっておらず、従業員からは「買い手が早く決まってほしい」との声も漏れる。
虎視眈々と日本事業の拡大を狙う会社もある。3月初め、米プルデンシャルのCEOが来日、国内生保の関係者の間ではさまざまな憶測が飛び交った。米プルデンシャルは、経営破たんした大和(やまと)生命保険他、AIGエジソン・スターの買収にも名乗りを上げた。3月には大和生命の受け皿になることが決まり、エジソン・スターでも最終入札に残っている。4月には日本事業を持ち株会社に移行する。本国との資本関係を整理するためだが、グループ企業が増えるため、体制を整備する狙いもありそうだ。
米大手生保のメットライフも日本市場への参入に強い意欲を持っているとされる三井住友海上と合弁で運営する年金会社の経営が順調に進んでいるからだ。いったん売却手続きは凍結されたが、アリコの買収を検討している。
1990年代後半から相次ぎ破綻した国内生保の受け皿にAIGやプルデンシャルがなったこともあり、国内の生保市場に占める外資系のシェアはじわじわ上昇している。直近では約30%になったとみられる。AIGショックを機に、今後は外資系でも優勝劣敗が鮮明になりそうだ。

W外資系金融機関の雇用情勢

1.外資系金融機関、一段の人員削減。 HSBCやUBS

外資系金融機関の人材流動化が一段と進んでいる。HSBCが東京の一部部門を香港に移転するほか、UBSはスイス本社方針で世界的に人員削減している。金融危機で昨年来進んできた業務縮小の動きに歯止めがかからない。
HSBCは8月末までに株式調査部門、運用部門を香港に移転する。これに伴い人員は香港の同部門や他の部門に移行させたうえ一部削減する可能性もある。UBSは4月に、2020年末までに世界の従業員数を8700人削減すると発表。日本でも5月連休前に人員削減を進めた模様だ。

2.外資系金融機関のリストラ及び雇用の現状(エグゼクティブサーチパートナーズ調べ)

日本でオペレーションする外資系金融機関の従業員数全体は09年3月時点で約28000人。そのうち08年1月から09年3月までの15ヶ月間で約4300人のリストラが実施された。これは15.5%に相当する。
外資系金融機関とは、外国資本が所有する銀行、証券会社、資産運用会社、直系の不動産関連会社、ヘッジファンドの運用会社、プライベート・エクイティなどの投資会社を含む。
この大規模のリストラは、「米国投資銀行モデル」の崩壊に起因するところが大きく、それが金融人材市場に壊滅的打撃を与えている。
そのほか、外資系保険会社、外資系ノンバンク、メガバンク系証券での有期雇用契約者がリストラされている。さらに、日系資本の独立系証券会社や資産運用会社でも厳しいリストラが行われている。これらも加えると日本の金融機関全体でリストラされた金融人材は膨大な数に上る。
米系トップクラスの投資銀行が過剰なまでのリストラを敢行し、組織を限界までスリム化している。欧州系でも投資銀行的経営をしている金融機関でのリストラが激しい。

グローバルマーケット部門(市場部門)

  • 通常の債券及び株式ビジネスに加え、不動産証券化、クレジット関連、ヘッジファンド向けセールス、債券・株式ビジネスでの自己資金投資を含む。
  • グローバルマーケット部門でのリストラが全体の60%近くを占めており、最も激しいリストラが行われた。これには、不動産の証券化、CDO等のクレジット、レベレッジをかけたプリンシパル運用、資産内容が不透明で時価評価が難しいファンド関連の担当者のリストラが含まれている。

    顧客担当別では、ヘッジファンド、地銀、投機的な運用で大きな損害を被った事業法人、学校法人や宗教法人が投資意欲を失っており、これらの担当者がリストラにあっている。
    さらに本来、エージェント業務に徹すべき証券会社が自己資本での運用(プリンシパル・インベストメント)を急拡大した結果、大きな損害を被った。当該業務の人材需要は全くない。
  • 一方、流動性の高い債券や透明性のあるファンドへの投資ニーズはある。一部の大手外資系金融機関では、米国国債や日本国債のトレーダやセールスに対する人材需要がある。
  • CDSマーケットは全く機能しなくなった。したがってクレジット・トレーディングの人材需要は全くない。ディストレス・ビジネスは、海外ディストレスの日本の機関投資家へのプレースメントが回復し、人材需要をもたらすと考えられる。

投資銀行部門

  • カバレッジ、ECM,DCM,ストラクチャード・ファイナンスなど、投資銀行部門でのリストラは他の部門に比較して少なかったが、それでも各社は投資銀行部門の陣容を最小限に絞り込んでいる。その結果、大手投資銀行の投資銀行部門の人数は殆ど100人以下に縮小された。この部門での採用は、基本的にどの金融機関でも行っていない。
    今後、M&Aは日本企業の「選択と集中」経営の進展により拡大し、人材需要は早晩回復すると期待される。

資産運用部門

  • 資産運用部門のリストラは、株価が急落したリーマンショック以降、顕著になった。特に日本株運用関連でのリストラが目立った。また、投資顧問系に比べて投信系のリストラが多かった。外資系資産運用会社の中には日本株の運用から撤退するとか、日本法人の組織を大幅に縮小したところもある。
  • 資産運用会社の収益は預かり資産の純資産総額に連動するため、株価急落時今春までは、この業態でリストラが行われてきた。投信の運用利回りが大幅なマイナスになったため、日本の金融機関の大きな収益源となっていた投信が銀行窓口で全く売れなくなった。したがって、外資系資産運用会社では投信部門の人材がリストラされている。
  • 株価急落を受けて企業年金の運用利回りがマイナスに推移しており、年金基金は運用方針を見直している。したがって、今後年金基金向けビジネスで人材需要があるとすれば、年金制度に精通し、年金の負債サイドにも知識を持つコンサルティング・ファームや運用会社の年金向け営業担当者が対象となるだろう。
  • 日本株で不当にPBRやPERの低い株式もあり、したがって、年金基金など、長期の機関投資家向けバリュー株運用が回復し、そのファンドマネジャーへの人材需要が増えるかもしれない。

オルタナティブ投資

  • 世界のヘッジファンド残高は、ピークの200兆円から100兆円に半減するといわれている。08年の運用成績はマイナス19%で、その間1471本(全体の15%)のヘッジファンドが閉鎖されたといわれる。全体としては今後も苦戦が続くとみられる。
  • 一部ではあるがパフォーマンスが改善しているファンドもあり、日本ものの投資を増やすため、日本人のプロ人材の採用を模索している。運用側でもオルタナティブ投資への検討が始まっている。ヘッジファンドでの投資対象は流動性のあるロングショート戦略やアービトラージ系の運用商品であろう。またディストレス資産への投資も早晩回復すると考えられるため、そのファンドマネジャー、仕組み担当者、販売担当者への人材需要が出てくるとみられる。

個人富裕層部門

  • 個人富裕層部門は、陣容拡大方針のところと、リストラしているところが交錯している。中長期的には、当該ビジネスでの人材需要は日本の金融機関も含めて増大すると考えられる。
  • 1400兆円の個人金融資産は金融危機による資産価格の下落により、、富裕層及び準富裕層の投資に大きな痛手を与えたが、中長期的には個人記入資産をターゲットにしたビジネスは拡大するとみられる。これを背景に一部の外資系プライベート・バンク(PB)や日本の金融機関はこのビジネスに対するコミットメントを拡大し、人材を採用している。採用の対象はRMと呼ばれる顧客担当者、及び銀行商品・仕組み債・ファンドなどさまざまな金融商品プロダクト担当者である。

コマーシャル・バンキング部門

  • コマーシャル・バンキング部門では、業績不振で実質国有化された米系銀行の東京支店でのリストラが顕著である。本社の動き次第では、一層のリストラが行われる懸念がある。一部の欧州系銀行の東京支店でも、通常の融資業務、プロジェクト・ファイナンス、オペレーションでリストラや業務の海外移転があった。

X金融の現状評価と今後の展望<

1.投資銀行は原点回帰へ

いま、投資銀行は終わったと語られ始めている。圧倒的な収益力と競争力を誇った大手投資銀行は、破綻、他社への身売り、あるいは銀行持ち株会社として商業銀行を兼ねる金融機関への業態変更を余儀なくされた。果たして、本当に「投資銀行は終わった」のか?
投資銀行の役割の大きな部分は、実態経済の成長支援にあった。今後もこのニーズはなくならず、少なくとも投資銀行「業務」の存在価値はあり続ける。
投資銀行は、時価会計の下で想定外のリスクには対処しきれなかったが、その他の業態の金融機関に比べリスクマネジメント能力は高い。また、危機対応と景気対策の観点で、当面、世界的な「カネ余り」が続くと思われ、高度なリスクマネジメント能力が必要とされる場面は決して減らないだろう。
金融業界全体が実態経済支援に振り子を振る中で、今までの投資銀行業態とは姿を変えつつも、本来の投資銀行業務はそこで培われた能力は生きながらえていくだろう。

2.邦銀再生、低収益体質の脱却へ

世界的な経済・金融危機下で、「邦銀の収益性の低さ」が問題になり、銀行の経営の在り方が問われている。
まず、第一に邦銀の利ザヤは欧米銀行から大きく見劣りしている。第二に取引先の株式保有も低収益体質の一因となっている。邦銀は株価の重しがあるため、M&Aによる思い切った収益向上策をとる機会を逸している。
このようにみると、銀行の収益力向上には、銀行の経営能力を高めるだけでは不十分。資金の借り手が、金利引き上げを受容するとともに、信用保証制度の見直しを含め、既存の制度が信用市場に与える影響を検討すべきである。銀行経営者も、顧客の理解を得ながらリスクに対し適切なプライシングをする努力が今まで以上に求められる。
邦銀が日本の産業界の長期的繁栄のカギを握る存在の一つであることは疑いない。金融危機で、間接金融の重要性を産業界が理解した今だからこそできることに、銀行だけでなく国やそして顧客である企業も取り組む時である。

3.グローバル危機検証、米政府管理の金融、つかの間の平静

リーマン破綻から1年、市場は一時のパニックを抜け出し、景気も底入れの兆しが見えるが、金融も産業も政府頼みを抜け切れず、正常化には程遠い。
米FRBバーナンキ議長は7月、商業用不動産市場について「金融システムの新たな爆弾」と警戒を示した。米財務省のプランC、金融関係者は当局が内内に金融潜在リスクと対応策を検討しているとささやく。商業用不動産市場の悪化、住宅ローンの債務不履行の急増、中小金融機関の経営悪化が三大リスクだ。新たなサブプライム問題がくすぶる。
5月、FRBは大手米銀の経営問題に一つの区切りをつけようとして、大手19社に実施したストレステストの結果を発表。19社のうち、バンク・オブ・アメリカなど10社が合計746億ドルの資本増強を求められた。
株価回復を追い風に大手行は相次いで増資を実施。GS,JPモルガン・チェースなど10社は公的資金を返した。その一方で政府管理の集中治療はなお続いている。
シティグループ、AIG,ファニーメイ、フレディマック―――。公的管理下にある大手金融機関は公的資金の返済のめどが立たない。
足元の環境は好転している。企業が資金調達のために社債発行を増やし、GSなど投資銀行の収益は回復。FRBのゼロ金利政策のおかげで銀行も利ザヤを稼いでいる。
とはいえ、金融は正常化には遠い。その証拠に銀行は必死に預金をかき集めているのに貸し出しはむしろ減り気味。家計や企業は貸し渋りに直面している。8月FOMCは景気底入れを宣言した。その足元の危うさは誰よりもFRBのバーナンキが知っている。

4.危機から再生への胎動

どの時点で「100年に一度の危機」なのか。景気下降の長さ、深さ、そして世界同時であり構造的であることに従来の危機との違いがあり、最悪期は越えたが、経済正常化、健全化への本格調整は始まったばかりだ。
直視すべきは危機前の経済・社会と危機後のそれが大きく変化する可能性が高いことだ。その点で、現在直面しているのは従来型の景気循環を超えた経済転換だと言える。したがって、経済の落ち込みに歯止めをかける危機管理は重要だが、GDPギャップを埋めるための単なる総需要追加の発想では限界がある。
機後を視野にいれ、環境、医療、健康、安全など時代的なニーズの強いサービス部門を成長産業に育て上げるなど、構造政策が重要である。
日本にとっての問題は、そうした潜在的な成長分野が、いまだに政府の過剰な規制、介入によって、がんじがらめになっていることにある。危機以前の状況を回復するということだけの発想では、いずれ終わる危機の後に持続的な発展・成長を実現できず停滞を続けるだけとなる。
いま目の当たりにしている危機は、循環的な不況でなく、新しい経済・社会への転換を促すものではないか。政策においても、企業の経営においても、時代認識が欠かせない。

5.外資系金融機関のカムバック、リスクを取り出した日系金融機関

今回の金融危機に伴う外資系金融機関のリストラや組織縮小があったことで、それがそのまま外資系金融機関が日本市場からすべて撤退すると結論付けるのは早急だ。リスクを取ることが金融の付加価値を創出する根本だからだ。例えば従来のような投資銀行業務は行われないだろうが、姿を変えた本来の投資銀行業務はその能力を発揮して生きながらえるべく早晩外資系金融機関のカムバックが見られるだろう。
一方、金融危機に見舞われた日系金融機関は総じて旧来通りリスクから逃避して安全の方向に向いている。しかしながら、一部の日系金融機関がこの局面で外資系金融機関に対してM&Aを行使して今後の金融市場を見据えて自己のポジションを取ろうとしていることは新たな動きとして評価できる。また新興国など海外拠点の拡大施策ももう一度海外金融ビジネスへ地歩を固めたいというリスクテークの動きである。このようにグローバルコンペティションの中でリスクを取って向かっていこうとする姿勢が遅ればせながら日系金融機関に生まれてきたことは、取りも直さずこのような行動に出なければ国際金融市場で生き残れないことを痛感したからだ。

既存の政治体制も変革に向けて動き出した。日系金融機関もようやく目覚めて変化を取り込むようなマネジメント組織に変わってきた。したがって、そこに携わる金融人材も当然のことながら集団組織依存体質から自己が拠って立つべき価値観、視点を確立した自立したプロフェッショナリティが求められる。


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