グループ強化 3メガ銀動く 合計8600万人の顧客活かせ

 3メガバンクがグループの信託銀行や証券会社との連携強化に動き出した。みずば銀行は10月から証券会社の商品を紹介するサービスを全店舗で開始。三菱東京UFJ銀行は運用商品の品ぞろえを増やし、銀行の顧客に提案する。3メガ合計で8600万人に上る中核銀行の個人顧客に信託や証券のサービスをいかに利用してもらうかII。収益拡大ヘグループ戦略の巧拙が問われる。
 みずほ銀行は株式や債券など証券会社でしか買えない商品を希望する顧客を、グループのみずほインベスターズ証券に紹介する「橋渡しサービス」を全店舗で始める。2月から一部店舗で試行的に始めていたが、10月までに全国の約400店舗に順次広げる。
 みずほ銀は166店舗に証券の社員が常駐する「プラネットブース」を置いており、希望者をブースに誘導して相談に乗る。ブースがなければ近隣の店舗やインターネットを紹介する。全店舗の窓□担当者ら約1万2000人に証券外務員の上級資格を取得させ、サービス開始に備える。
 信託銀行が扱う金銭信託商品の販売も強化する。昨年秋から約200店舗で販売していたが、8月からは全店舗で販売できるようにした。
 三菱東京UFJ銀はグループの証券会社から550人、信託会社から30人を出向者として受け入れ、債券をはじめとする運用商品や遺言信託を個人顧客に提案している。個人向け金融商品の預かり資産は約2兆円。2014年度までに運用商品の販売収益を11年度比で4割増やす計画だ。
 運用商品の品ぞろえを増やすため、3月には三菱UFJ信託銀行を通じ豪州の資産運用会社AMPキャピタル・ホールディングスの株式の約15%を取得した。新たに開発した個人向け商品を5月にグループの銀行、信託銀、証券会社で発売した。
 三井住友銀行は個人と法人の両面でSMBC日興証券との連携を深める。個人向けでは銀行の顧客を対象にした金融商品仲介を強化、10年度末にグループで約65兆円あった預かり資産残高を13年度に10%増やす目標だ。
法人向けでは今年1月にM&A(合併・買収)助言を手掛ける米投資銀行の米モ-リス社に出資した。6月には国内外企業のM&Aセミナーを東京と大阪で開いた。

「銀信証」連携 旧行意識の排除、カギ
人事制度は工夫拡がる
 3メガバンクにとってグループ内連携の強化は古くて新しい課題だ。2000年以降の金融再編で現在の体制となってから経営陣は常に「グループー体経営」を掛け声にしてきたが、旧行意識や規制の壁に阻まれて十分な成果を出せなかった。各クループは「世代交代や規制緩和が進んだ今こそチャンス」と意気込むが、課題は多い。
 昨年度に中核銀行が稼いだ業務粗利益は三菱UFJと三井住友が連結決算全体の約6割みずほが7割を占める。三菱UFJは証券会社を持ち分法適用会社にした際の特殊利益を含むため、実際に各グループの中核銀行以外の子会社や関連会社が稼いだ利益は2~4割にとどまった計算だ。
 各グループはこれまでも銀行以外のサービスを銀行顧客に売り込む」という目標を掲げてきたが、あるメガバンク関係者は「出身母体の銀行、証券会社の利益を優先したり、自分の所属する組織の利益だけを追求する社員も多かった。」と明かす。8600万人という顧客基盤の収益拡大に活かすと言うのは、メガバンクの都合。決済や資産運用あんど全ての金融サービスを1つのグループだけにゆだねるのはリスクでもあるからだ。
 例えば、証券分野。各グループの証券会社は少しずつ地力をつけてきたとはいえ、営業収益などで首位の野村証券とは今なお大きく水をあけられている。日本のメガバンクはユニバーサルバンク(総合金融業)としての潜在力を必ずしも発揮していない。

2012.08.28